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2023年5月24日

改善活動

損益分岐点

損益分岐点

英国では6%の賃上げを決めたとのこと。それでも物価高を吸収できないという。そういう日本の実質賃金は低迷し続けている。賃金を上げればよいのだが、利益を圧迫する。ならば生産性を上げればよい。

2つの側面を持つ損益分岐点

売上から変動費を引いたものが「限界利益」、限界利益から固定費(管理可能固定費)を引いたものが「貢献利益」となる。貢献利益は営業利益とみると分かりやすいかもしれない。
固定費を限界利益率が割ると「損益分岐点」が計算できる。※固定費を0にする(固定費を賄う)売上高のこと。営業利益が0となる売上高。
景気が良い時、成長期あるいは成長市場の時は、限界利益率が高い財(商品及びサービス)を選ぶとよい。
低成長、売上増が見込めない時は、損益分岐点が低い方がよい。
つまり外部環境の見方のよって、損益分岐点の活用方法は異なる。ちなみに、固定費は常に低い方がよいという考えは間違いである。
コロナ禍、つまり低迷期でも業績を維持(2020年9月の生産・販売台数は過去最高)していたトヨタ自動車は、損益分岐台数を200万台減らしていた。

改善目標を設定する

売上増が見込めないとすると利益増を考えなくてはならない。利益をいくらにするかをまずは設定する。この目標利益に固定費を足す。(目標利益+固定費)÷ 限界利益率が目標売上高になる。後は、固定費と変動費をひとつひとつ観ていくことになる。
結果、科目ごとあるいは活動原価ごとの目標値が見えてくる。

財務数値を目標値とする理由

改善活動で陥り易いミスは成果の収穫である。工数改善と財務成果は異なる。2000時間浮いたから人一人減らせるとは限らない。財務成果に結びつかないものは駄目なのだ。
よくある質問の一つが、活動単位に関するものだ。商品やサービスは一つではないし、複数事業を持つ会社も多い。よって財務を商品やサービス単位に分けること自体が難しいという。厳密に分ける必要はない。概算でも見えないよりはましである。
人材不足という話は絶えないが、報酬もあげていかないといけない。売上を上げる成長戦略は必須であるが、足腰である生産性を高める活動が手薄であってはならない。

※損益分岐点を考案したノイッペルは7種類の損益分岐点を挙げている。固定費を総費用と考え、例えばファイナンス・コストや利息などを加算した場合は危篤点といっている。