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2024年4月12日

SS業界研究

充電ステーションはサロン化するのか

充電ステーションはサロン化するのか

ドイツのアウディが欧州外で初めてとなるEV高速充電ステーションを日本に新設する。集合住宅が多い日本に適しているという判断である。

ニュルンベルクのチャージングハブの2階はラウンジになっているという。
思い出したことがある。ベトナムではオートバイのことをホンダと呼ぶ。カテゴリーの総称になっているということだ。
その市場を切り崩していったヤマハ発動機の戦略は、オートバイショップの2階を喫茶店にした。

世界中でEV販売が苦戦している。その理由の一つは、イノベーターと呼ばれる顧客層への浸透が一巡したことだ。二つ目の理由は、リセールバリューが低いことだ。日本では新車販売の15%程度がリースであるが、欧州では約半分がリースである。リース車を多く抱える法人はEVを敬遠する動きがある。レンタカー会社の中にはEVを扱わないと方針転換したところもある。
当初、EVの課題として、充電ステーションの整備、走行距離、電池リサイクルなどが指摘されていた。利便性と価格に直結する。結果として、世界的にハイブリッドの市場が伸びている。

話をラウンジに戻す。長期的にみればEVは浸透していくだろう。
しかし、課題は多い。何よりも電池の劣化は使い方で異なり、それをリセールバリューに反映させる必要がある。つまり走行距離では判断できない。また、EVのメンテナンスは難易度の高い別の技術を要する。
以上のことを考えると、EVは特定顧客向け充電サロンというスタイルが一定期間存在するのではないか。
10年ほど前に、ある欧州系高級車ブランドがレストランに車を展示したことがある。食事をしながら新車に触れることができる。新たなタッチポイント戦略といえる。

今後のSSの戦略を考える時、給油や充電といった機能的ベネフィットのみを観るのではなく、社会的帰属ベネフィットなど顧客別価値観に適応していく形へ変化していくのではないか。ただし、外部環境の変化、例えば水素ステーションや携帯式取り換え電池パックなどが充実してくると競争環境は変わってくる。