BLOG
ブログ
2022年4月8日
SS業界研究
海外事情から探る新たな前庭業界の出現
EVの浸透と新たな前庭業界の出現
LS Retail(様々な流通業にソフトウェアなどを提供してる米国の会社)の 「ガソリンスタンド業界を変えている4つのトレンド(2020年3月3日)」では次のように指摘している。
「この業界は変革期にある。新興市場においては、より迅速なサービスのため、最新の技術自動化を備えた新しい前庭(forecourt)が出現している。また、環境に配慮した消費者にアピールするために、場所の数を減らして代替燃料に移行している」。
無人化という流れもあるが、サービス業であれば顧客満足(満足を超えて感動が求められる)は前提となる。
4つのトレンドとは、➀電子決済(リモート決済など)、➁データを活用したプロモーション、➂サービスの多様化、➃テクノロジーによる自動化(AIを活用し、EV車の給油口自動判別や、QR認証による入店など)である。
ガソリンを売るコンビニ
Lumina intelligence(食品、飲料、栄養市場の洞察ソリューションの信頼できる情報源:英国の会社)は次のように述べている。
「前庭(SS)が単に燃料を補充する場所であった時代はとうの昔に過ぎ去った。そして近年、前庭の構造に大きな変化が見られた。 2005年は前庭の目的に関する買い物客の認識の革命が始まった年であった。買い物客は前庭を『普通の』コンビニエンスストアとして扱い始め、フォアコートがガソリンスタンドとしてではなく、ガソリンを売るコンビニエンスストアとして見なされている」。
INDUSTRY RESEARCH REPORTS では「Gas Stations with Convenience Stores Industry in the US(2021年10月3日)」という見出しのレポートがある。コンビニエンスストアを備えたガソリンスタンド業界という概念が既に存在するということだ。そして次のように述べている。
「石油販売は外部環境に左右される。一方、コンビニエンスストアの売上は、事業者が商品の選択を継続的に改善し、裁量商品(discretionary items)への個人消費が増加するにつれて増加する。商品販売が収益の安定を維持するのに役立つ」。
適応が新たな前庭業界を生む
JWK Company「ガソリンスタンド業界を変えるトレンド(2021年4月3日)」では次の様に述べている。
「成功したガソリンスタンドと失敗したガソリンスタンドを区別するものは適応性だ。不確実な時代を踏まえて、SS業界の変化は、主に消費者の期待と技術によって推進され、すでに動いている。ガソリンスタンド業界を変えるいくつかのトレンドは、『複数の収益源』と『デジタルによる割引』と『プロモーション』である」。
抜粋ではあるが、以上のトレンドをみると、SSつまり前庭(フォアコート・リテイリング:Forecourt Retailing)は既に業態変化をしており、ガソリンを売っているコンビニになっているようだ。
日本のように歩いていけるコンビニが沢山ある訳ではないが、コンビニで買い物をしたらガソリンも忘れずに、という消費スタイルだ。
EV比率が1%に満たない日本とは異なる欧米では、EVとサービスの多様化とデジタル化による進化は数年後、生活者のニーズを先取りするように、全く新たなビジネスモデルを構築しているかもしれない。