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2022年2月9日
自社アプリ開発
すぐにやる
グローバルコミュニケーションズ(以下GC)では、時間のマネジメントに関する研究を行っている。
9回目は「すぐにやる」について考えたい。
社風が創る習慣
日本電産創業者である永守氏の著書『成しとげる力』に三大精神というのが紹介されていた。「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」というものだ。これは創業時に定めたものらしく、今でも続いているという。興味深いのは、最初は「すぐやる」である。
例えば、部長に電話をして話がしたいというと、日本電産では1分もしないうちに走って部屋にやってくる。M&Aで買収した会社は、技術も人材も優秀で安定したマーケットもあるのだが、赤字である。この会社では電話をしても10分しても来ない。再度電話をすると「すぐに伺います」といって5~6分してやって来る。これが社風だ。
※¹「 一つを取り上げればそれほど大きな問題ではないかもしれない。しかし、全社となると話は別だ。もし、部長が走れば社員もそれを真似る。これがリーダシップというものだ」と記されている。
実験する文化
計画が実行できない理由をシンプルに言えば、やっていないからである。なぜやらないかというと面倒だからである。なぜ面倒かというと、ゴールまでのシナリオが見えないからである。つまり未知だからである。人は基本的にすぐにできること、つまりわかっていることを先に行う。わからないことは後回しにする。
そこで欠かせないのが実験する能力である。なぜ実験が大切かといえば、※² 実験することで不確実性が軽減され、未知のものが見えてくるからだ。
以前にも触れたが、VUCA時代において、リニアなモデル、過去の成功体験が必ずしも通用するとは限らない。不確実な環境において、緻密な計画作りに多大な時間を使うのは効率的ではないし、そもそも不適当かもしれない。
日本電産の創業時からそうであるように、未知なる領域に過去の事例などない。「すぐにやる」というのは何とも試行錯誤的に聞こえるかもしれないが、実は基本動作なのである。
※¹『成しとげる力』日本電産会長(著)永守重信 サンマーク出版
※² ブリガム・ヤング大学教授ジェフリー・ダイアー、助教授 ネイサン・ファー『Leading Your Team into the Unknown』(HBR)で実験の3つの価値について言及している。「洞察の価値」「選択肢の価値」「戦略上の価値」である。不確実性の軽減は洞察の価値に該当する。