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2022年4月1日
GCの人材マネジメント
共感力

人的サービスという原点回帰
株式会社グローバル・コミュニケーションズ(以下GC)の人材ビジョンの一つが 『もてる人』である。
もてる人とは何だろうか。考えてみたい。
無人化という流れもあるが、サービス業であれば顧客満足(満足を超えて感動が求められる時代であるが)は前提となる。

共感力とアダム・スミス
今の時代の経営に必要なキーワードを挙げるとしたら、共感力は必ず出てくると思う。
共感力の重要性を考える上での原点は、アダム・スミスにあるのではないだろうか。彼も彼の父親も神学に関係している。まだ、古典派経済学という概念も無い時代である。
「お金儲けは誰のために?」という素朴な問いである。彼は、感情こそが基本で、他者の感情を理解する心が良心といっている。
個人の感情は一般性や社会性を持つ。その心を良心という。つまり良心と共感は表裏一体といえる。
もう一度。「お金儲けは誰のために?」。自分の利益を追求することで結果的に他者の利益にもなる。いわゆる、神の見えざる手である。
しかし、自己の利益だけを追求する結果になったらどうだろうか。そこに良心や共感はあるのだろうか。(※1)

共感と共創
今の時代、取引経済モデルから経験経済モデルへと進化している。共感を得られないビジネスは存在しにくくなっている。 これはインターネットによる恩恵の大きな一つだと思える。共感について興味深い書籍がある。
「The Age of Empathy」(2010年、著者フランス・ドゥ・ヴァール)の冒頭、「今時、強欲は流行らない。世は共感の時代を迎えたのだ」。
同年、ISO 26000が発行される。CSR(Corporate Social Responsibility)の「C」が取れ「SR」に関するものを定めたもので、あらゆる組織が社会的責任を負うというものである。これはSDG’sの先駆けといってもよいだろう。 そして、2011年に経営(学)に強烈なインパクトを与えた論文が出る。CSV(Creating Shared Value)共創価値経営である。(※2)
2003年にオープン・イノベーションが提唱され、当時は欠けたピースを埋める発想であったが、これも次第にサービス化へと進化を遂げる。サービスの本質は共感にある。
もてる人の定義は様々だと思うが、共感力は欠かせない資質の一つだと思える。

※1. Adam Smith 倫理学書『道徳感情論』(1759年)
※2. Michael E. Porter 2011年Harvard Business Review(これより以前、2006年に同様の論文を出している。大きく流れを観ると、2010年には経営の在り方や使命が転換した時代といえる。)